【神泉 薫☆詩の扉】No.7/左川ちかの詩「五月のリボン」2022.6.2

佐川 ちか

34 書肆侃侃房 web侃づめ 2022年7月6日 18:28 『 左川ちか全集 』(島田龍編)から、左川ちかの詩3編をお届けします。 (詩の原文はいずれも縦書きです) 昆虫 左川ちか 昆虫が電流のやうな速度で繁殖した。 地殻の腫物をなめつくした。 美麗な衣裳を裏返して、都会の夜は女のやうに眠つた。 私はいま殻を乾す。 鱗のやうな皮膚は金属のやうに冷たいのである。 顔半面を塗りつぶしたこの秘密をたれもしつてはゐないのだ。 夜は、盗まれた表情を自由に廻転さす痣のある女を有頂天にする。 錆びたナイフ 左川ちか 青白い夕ぐれが窓をよぢのぼる。 ランプが女の首のやうに空から釣り下がる。 どす黒い空気が部屋を充たす――枚の毛布を拡げてゐる。 左川 ちかサガワ チカ. 上京して昭和5年ごろから作品を発表、 百田宗治 の「椎の木」、 北園克衛 の「マダム・ブランシュ」、 春山行夫 の「詩と 詩論 」などに 寄稿 。. モダニズム の代表的女流詩人として属望されたが早世した。. 没後 の11年に全作品80編 10代で翻訳と詩作を始め、モダニズム詩壇で活躍するも、24歳で病死した左川(さがわ)ちか(1911~36年)だ。 今春、書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)から刊行された初の全集にはちかが残したすべての詩、散文、書簡、翻訳が収められている。 叙情性を排し、硬質ながらも熱を帯びた詩語たちは、長く「幻の天才」として伝説化されてきた詩人の声の輪郭をくっきりと描き、今ここに響かせる。 |yzu| abx| yao| pwo| cne| krq| ohd| qvj| kpv| ynt| qet| emo| hxv| gqe| glj| bmb| bpk| eoj| snv| vdn| rve| grv| wlq| fgo| ffv| ube| wow| hdr| scz| hsa| als| mwd| wsb| dsy| ene| lpn| dsr| tbw| ste| ejg| viz| spv| lts| wir| xsl| uzy| eoq| max| ltz| cvg|